地域にこれだけ寄り添える事業は 他にはない



生活支援サービスベンリー加盟企業様インタビュー


十勝バス株式会社

代表取締役社長

野村 文吾 様




十勝バス株式会社様は路線バスをメインに貸切バス、タクシーなどの旅客輸送事業を中心に、介護事業や学童保育を展開されています。当時バス業界では前例のない、一軒一軒「戸別訪問」という活動を通じ、お客さまからのバスの利用状況や悩みの声を自社の活動へ反映させ、四十年振りの利用者増加へと繋げた功績から「黄色いバスの奇跡」とバス業界内外問わずに各メディアにも多く取上げられ、注目されている会社様です。そんな十勝バス様にこの度、ベンリーにご加盟頂きました。



黄色いバスの奇跡の歴史、

「戸別訪問」戦略誕生の秘話


 バス事業は、年々モータリゼーションが進んで、どうしても利用者が減っていってしまっていました。乗合バス事業の常識では、「お客さまを増やせない」と思い込んでしまって、何も手立てを打ってこなく、その対策は便数を減らしたり、路線を減らすなどして、縮小均衡をなんとか図ろうとし、悪循環に陥っていたというのがバス業界だったと思います。私は前職、西武グループの出身で、ご利用になるお客さまを増やすという事を徹底的に教育されていましたので、どんな時も、お客さまを増やさなくちゃいけないという想いでいました。これを十勝バスの中でやろうとしましたが、残念ながら十年程うまくいかず、大変苦しい時期がありました。そんな中、二〇〇八年に原油の大高騰が起こり、社内も騒然となり、何かやっぱり手を打たなければならないという状況になりました。そこでようやくずっと言い続けていた、ご利用になるお客さまを増やそうという取り組みに本格的に取りかかることになりました。

 その当時、私は地域のいろんな運動や活動に関わっていた中で、組織を立ち上げたり運動を起こそうとしたりするには、最初から大きな組織はどうしても作れませんでした。何度も大きな組織を作ろうとしましたが失敗し、失敗する度にどうして駄目だったのかを色々考えていくと、一対多ではなかなか思っている事や考えている事が伝わらない事に行き着きました。少しずつ矛先を小さくして、最終的には一対一で話した時に、皆さんが理解をしてくれて「よし、やろう」という事になり、またそこから一人が一人を呼び、その一人がまた一人を呼びという事で、一対一で始めてからの方がずっと早く立ち上がり、たくさんの仲間を集めることができました。これはきっと一対一でお話しする事に原理原則があるのだと思い、十勝バスのお客さまの利用を増やす取り組みに一対一原理を持ち込み、「戸別訪問」を始めたというのが出だしでした。それから、お客さまがどんどん増え、お客さまから質問される事や聞かれる事が多くなり、それに真摯に対応していき、四年間取り組んだ結果、全ての事業の総収入が前年対比、四十年ぶりにプラスを出すことができました。


戸別訪問から感じた

生活支援サービスの必要性


 戸別訪問をしていて、一対一でお話をしているのは常に玄関先でした。その為、もっと家の中に入り込んでもっと親身な話ができれば、もっといろんなニーズ、真のニーズが聞き出せるだろうと思い新規事業を探し始めました。また、表向きは家の中に入れる事業という事で新規事業を探していたのですが、十勝バスを長らくご利用して頂いた高齢のお客さまに何かしらの恩返しをしなきゃいけないという目的でも探していました。十勝バスを長らくご利用して頂いた高齢者の方々は、ご自身の健康の理由で、その先バスをご利用頂けなくなってしまいます。過去には、そこでお客さまとバス会社との関係が切れてしまっていたので、関係を切らさずにしたかったからです。そこで、どうやったらご自宅の中に入り込めるのかと考え、最初に手がけたのが介護事業の訪問介護でした。

 介護事業は今までご利用いただいたお客さまへの恩返し、サポート役、お手伝い役と地域に貢献するという目的を果たしてくれていると思っています。ただし、その業法が非常に厳しく、ご自宅の中に入ってから介護以外の話や仕事はあまりできず、バスの真のニーズを聞き出すことはできていないというのが現実でした。その後ある時、ダイレクトメールでベンリーの事を知り、ご自宅の中に入って仕事をするというのはこういう形態もあるのだと思って閃きがあったのが、ベンリーを検討する始まりです。その時は、既存のベンリーの加盟店に遠州鉄道様など、同じ業界の方もいらっしゃって、これはもしかすると我々にもできるのではないのかという事で、説明会に行きました。

 説明会では、今まで大変な苦労の連続の上で今のベンリーの形ができ、今現在も拡大をされているという話などを聞きました。これだけ真摯に改善を行っている会社がやられている事業であれば、きっと行く末、色んな所で、一緒に仕事をやっていけるという気持ちになりました。また、モノからコトへ、物質から精神へと言う流れの中で、精神というのは人と人とが直接触れ合った中でより増幅するものだと思います。これからIT化が進む時代だからこそ、しっかり市民に寄り添う形で、何から何までお世話のできる姿というのは、ある意味理想形でもあり、これが本当にできるのであれば、素晴らしい業態だと感じました。


お客さまからの直接の声、

生活支援サービスは理想から実現へ

 当社はトップダウンで物事が決まる会社ではなく、常に合意をもって進めていく社風があります。説明会を聞いた後に、生活支援サービスの事業をどうやって社内で合意形成をしていくのかと考えていました。そこでベンリー本部からのアドバイスもあって、新規事業のプロジェクトチームを作りました。チームのメンバーが実際の全国の加盟店のいろんな事例を見たりもしました。また、ベンリー事業の内容についても市民の方がどう感じられているか?どんなニーズがあるのか?と思い、「戸別訪問」で直接聞きに行きました。その内容(ニーズ)は、否定的な言葉は一つもなく、『これから必ず必要になると思う』という声が多かったです。もう一点、バスのニーズを聞きに行った時と同じですが、「十勝バスがやるなら」という言葉が非常に多くありました。地域から信頼して頂いている、さらには、バス事業において非常に厳しい時期があったにも関わらず、色々な改善や努力をしたその十勝バスがという意味も含まれていると思いましたので、非常に信用と新たなチャレンジをする期待を持って頂けていると感じました。お客さまの声の感触は非常によかったと思います。



ベンリー開業後の波及・相乗効果と将来へのビジョン

 我々は、ベンリー本体にも期待していますが、バス事業を補完する事業という意味でもやろうと思っていますので、シナジーが当然ながらたくさん生まれるだろうなと思っています。ベンリー側からすれば、十勝バスの利用者がベンリーのお客さまになり、十勝バス側から見れば、ベンリーが訪問している先から新たなバスに対するニーズを今まで以上に深いレベルで聞き出せると思います。そして双方に情報をもたらせる媒体になりうるのではないかと、それだけでもシナジーが生まれるのではないかと思っています。

また、ベンリー本部は介護事業との連携・業態開発をしているので、十勝バスは訪問介護、通所介護もやっていますので、非常に親和性が高く、連携した事業になっていく、具体的な業態としてのシナジーも生まれるだろうと思っています。